つくばといえば、街中に宇宙ロケットがランドマークとして見られるような科学の学術・研究都市として未来へ進む街のイメージが強いのではないでしょうか。
しかし、つくばは筑波山が万葉集の和歌に詠まれているように、長い歴史を誇る町でもあります。そんなつくばに歴史マニアに注目される城郭跡があります。
それが、中世の城郭史跡、小田城です。
鎌倉時代からの歴史を誇る中世の城: 小田城跡
小田城は、常陸国南部に勢力をもった小田氏一族の居城として、鎌倉時代から戦国時代にかけての中世と呼ばれる時代に長く続いた城の史跡です。
現在では、筑波山を間近に見上げたのどかな集落と言える小田地区ですが、戦国時代の戦乱の世を彷彿とされる当時の土塁や堀の遺構などが残っています。
小田城がいつから存在したのかはよくわかっていませんが、出土遺物によって13世紀には城館としての存在が確認できます。14世紀には城館が明確化し、それ以降戦国時代まで400年にわたって使用され続けました。13・14世紀代の城館はあまり見つかった例がなく、小田城跡は貴重な史跡として歴史マニアにも注目されています。
そんな小田城跡は復元・保存事業が進んだおかげでよく整備されていて、無料で見学することができます。
城跡の周りを南北にまっすぐ伸びたサイクリングロードが通っていますが、これは30年ほど前まで運行されていた鉄道の路線跡です。実はかつては小田城跡の敷地のど真ん中を線路が貫いていましたが、現在は修復保存されています。
小田城跡に隣接する「小田城跡歴史ひろば案内所」はかつて鉄道の駅舎があった場所に建っています。小田城の歴史を紹介する資料館となっており、入館無料です。
実は名門!? 常陸国守護だった小田氏
この小田城を拠点としたのが、小田氏一族です。
その小田氏の初代、八田知家は鎌倉幕府を開いた源頼朝の信頼を得て最初の常陸守護になりました。NHK の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」にも登場する頼朝の死後に鎌倉幕府の集団指導体制を構成した13人の合議制メンバーのひとりです。
その後、所領が縮小し、常陸守護の地位も失いましたが、依然として常陸南部を勢力下としていました。南北朝時代には「関東八屋形」のひとつに数えられ、守護と同等の家格が認められていました。
15代小田氏治の時代には、上杉謙信や佐竹氏に何度も攻め込まれ、小田城を奪われてしまいます。戦に出るたびに敗戦を繰り返すため「戦国最弱」などと呼ばれることもありますが、そのたびに先祖伝来の城をめぐって戦いを挑み、8回も城を奪還した不屈の精神の持ち主でもあります。
小田城跡へのアクセス
そんな小田城へのアクセス方法は以下の通りです。
- つくばエクスプレス (TX) 「つくば駅」下車 → つくバス「小田シャトル」にて「小田東部」「小田中部」バス停下車 → 徒歩5分
- JR常磐線土浦駅 → 関東鉄道バス「筑波山口行、下妻駅行」で「小田」下車 → 徒歩約10分。
なお、自動車でお越しの場合は、小田城跡の周囲の集落は道路が狭いのでお気をつけください。小田城歴史ひろば案内所の駐車場を無料で利用することができます。
住所 | つくば市小田2377(遺構復元広場) ※小田城跡歴史ひろば案内所及び駐車場は「つくば市小田2532-2」 |
電話 | 029-867-4070 |
見学可能時間 | 常時開放。 ※小田城跡歴史ひろば案内所は午前9時~午後4時30分 |
入場料 | 無料 |
つくば市の中心街は大型ショッピングモールや大学、研究機関などが揃った都会の様相を見せていますが、少し足を伸ばすと小田城跡がある小田地区のように歴史的景観を残す集落もたくさんあります。
その中でも小田城跡は歴史的価値も高く、実際に城が使われていた当時の様子を思い描きながら見学することができます。歴史好きの人でなくとも一度は見学してみたい名所と言えますね。
小田地区周辺には美しい自然も間近にあります。筑波山からも近いので登山や温泉の行き帰りの途中でふらっと立ち寄っても良いかもしれませんね。